服を買った話

冬に向けて服を買いました。
服を買う事がすごく苦手でした。
どう説明すればいいのかわかりませんが、そもそも服を買う事自体が欲求に含まれていないようなそんな意識がありました。
 
ひどく乱暴に言うと「着れればいい」と言う意識が今も根底にはある気がします。
何年も前に買ったクタクタのシャツも大きな穴が空いていないなら着ればいいと思ってしまいます。
そしてまず「服を買おう」という意識が消極的なものになっていきます。
消極的な意欲になってしまうので、お店に行くのも億劫になります。
多くの服の中から選ぶのが億劫になります。消極的なくせに着る物が自分のアイデンティティの一つだという意識はあるようです。
人が苦手なので、お店の店員さんが怖いというのもあります。うまくかわす事ができないのです。
そしてどんどん面倒になってきて、使う時間もお金も惜しくなって、結局買わない、買っても安いものを適当に買う、という事が多かったです。
 
ところが最近、年齢を重ねたという事と、自分と同世代の知り合いが増えたという事、その辺りから起因して自分の服装、見た目に気が行くようになりました。
また、働いていたり生活をしていたりして、自分が住みよい環境が欲しいと思うようになり、それはつまり自分が他人にとってよい環境を提供する事、と思うようになりました。
その延長線に清潔感のある服、見た目、一目見た時にプラスの感情を持ってもらう事、そういうことに意識が向くようになりました。
前述のアイデンティティをよりプロデュースしようとしているのかもしれません。
 
相変わらず、お店で服を買うのは苦手です。上手い人はセールを狙ったり、もっと自分に似合うものを探すことに慣れているのかもしれません。
でも今日はじっくり時間をかけて気に入るものを探して、自分の中で納得のいくお金の使い方をして、家に帰って服を着てみて「いいじゃんいいじゃん」と一人で鏡を見てしまいました。
少しだけ、「服を買うこと」のやり方が自分の中で腑に落ちる感じがしました。
終わり。