バガボンド

バガボンド(31)(モーニングKC)

バガボンド(31)(モーニングKC)

私はヒーローじゃない。
決してこの世界を救えるわけでもないし、
親が実は大物で、ある日突然、黒服の人に迎えにこられたりもしないし、
実は凡人を装った天才で、難事件をいとも簡単に解いてしまったりもしない。
これから努力に努力を重ねて、ノーベル賞をとったりもしない。
スーパーサイヤ人にもなれない。


凡人だ。


たぶん、この世界のほとんどの人は、漫画や、アニメや、ドラマや映画の
主人公にはなれない。
そんなに魅力的なストーリーがあるとは、思えない。


でも、主人公じゃないといけないの?


これはただの開き直りかもしれないけど、
私はたぶん、特別なものを持ってないけど、
魅力的な人たちに嫉妬もするけど、
おいらはおいらなりに頑張ってんだ、
毎日しんどいし、毎日楽しいし、なんか、いろいろ考えて、いろいろ迷ってるんだー!!!
って大声で威張りたい気持ちになることがある。


バガボンド、31巻の又八の話はすごいよかった。
ただ単純に、脇役に焦点をあてた使い古されたストーリー構成なのかもしれないけれど、
武藏という大きな壁が目の前にあって、
それにむかつくのも、それに嫉妬するのも、嫉妬する自分を隠そうとするのも、何もかも、全部自分のせいだ、って自覚があって
それでも、どうしてもその壁を超えられない、その壁に追いつくこともできなかった。
確かに又八は弱かったのかもしれし、かっこ良かったとは言えんけど、
俺、又八側やわ、とか勝手に共感して涙した。


強くなりたい。